今回の記事では、以下の内容について調べてみました。
- カードローン契約者が死んだら家族に返済義務が移るのか
- 家族が返済義務を負わなくて済む方法
結論から言うと、カードローンの契約者が死んだ場合、家族に返済義務が移りますが、相続放棄などの手続きによって返済義務を免れることが可能です。
・・・詳しくは記事をご覧ください!
カードローンの契約者が死んだらどうなるのか

カードローンの契約者が死亡した場合、返済義務は相続権のある家族などに移ります。
人はいつ死ぬかわかりません。現在、病気を抱えているときや、高齢のために、ある程度近い時期の死が想像できる場合もあるかもしれませんが、ある日突然に、不慮の事故などのためにその日がやってくることもあります。
いつかは誰にも死が訪れることを考えると、すでにカードローンを利用していたり、これから利用しようと考えている人からすれば、自分が死んだら家族に返済義務が移って迷惑をかけることになってしまわないか心配になってしまうと思います。
「借金した本人が死んだらチャラになるんじゃ・・・」
そのように思われている方もいるかもしれませんが、そんな都合のよいことはありません。
カードローンの返済義務も相続対象になる
カードローンを利用している契約者(債務者)本人が死亡した場合には、その返済義務(負債)は配偶者や子供などの相続権のある遺族が相続することになります。
一般的に「遺産相続」と聞けば、テレビドラマで誰が個人の資産を相続するかと兄弟などでもめていたりする場面がよく描かれていることからも、現預金や不動産など「プラスの財産」を相続することをイメージされるかもしれません。
しかしながら、相続の対象となる財産は「プラスの財産」だけではありません。借金の返済義務といういわば「マイナスの財産」をも相続することになるのです。
例を挙げると、ある男性がカードローンを利用していて借金があったとした場合、返済すべき残高を残したまま死亡すると、その男性の現預金、自動車、不動産などとともにカードローンで借り入れていたお金の返済義務も妻や子どもに移ってしまいます。
相続するとトータルでマイナスになることもある
相続財産には、現預金や不動産などプラスのものもあればカードローンの借金などマイナスのものもあります。
プラスの財産が、カードローンの借金などマイナスの財産を差し引いてもまだ上回っていれば、ご家族など相続権利のある人の収入面ではプラスになります。
しかしながら、故人にプラスの財産を上回るような大きな負債がある場合、プラスの財産が実質的に帳消しになり、カードローンの返済義務などの負債しかのこならないということになってしまうこともあります。
残されたご家族にそんな借金を背負わせたくないと思われるかもしれませんね。
借金が上回って返済義務だけが残ってしまうようなら、相続なんてしたくないと思うのが普通だと思います。
そこで、後述するように相続放棄などの手続きをすることによってご家族など相続権利のある人がカードローンなどの返済義務を負わなくてもよいようにすることができます。
家族がカードローンの返済義務を負わなくてもよいようにする方法

カードローン契約者の遺族は、相続放棄や限定承認をすれば返済義務を免れることができます。
カードローンの借入残高など負債のほうが、現預金などのプラスの財産をうわまわっていて、相続をするとかえって損になるという場合、相続放棄や限定承認などの手続きをすることによって、カードローンの返済義務を負わなくてもよいようにすることができます。
相続放棄と限定承認
相続放棄や限定承認の届け出を家庭裁判所に行うことによって、故人のカードローンの返済義務を負わなくてよいようにできます。
相続放棄をすることにより、初めから相続権がなかったものとして扱われます。相続放棄をすると、プラスの財産を引き継がない代わりに、マイナスの財産(借金)も引き継がなくてよくなります。
相続放棄をするには、相続開始を知った日から3か月以内に住所地を管轄する家庭裁判所に届け出をする必要があります。
これに対して、限定承認というのは、相続した資産の範囲内で負債を返済するということです。残された借金の返済はしても、相続した資産の範囲内で行うので、残された家族は個人的なお金を持ち出して必要はありません。限定承認をするには、相続放棄と同様に、相続開始を知った日から3か月以内に住所地を管轄する家庭裁判所に届け出をする必要があります。
限定承認は、プラスの財産を限度としてマイナスの財産も引き継ぐものですが、プラスの財産とマイナスの財産のどちらが多いのかよくわからない場合に限定承認が勧められます。
相続放棄や限定承認の際、家庭裁判所への手続きが必要な期限は、「死亡した日から3か月以内」ではなく、あくまで「自分が相続人であることを知った日から3か月以内」ですので注意してください。たとえば、長らく音信不通になっていた息子がずいぶん後になってから父親の死亡を知った場合には、父親が死亡したことを知った日が「3か月」の起算点になります。
自分が相続人であることを知った日から三か月以内に、家庭裁判所に対して相続放棄の届け出も限定承認の届け出も行われない場合などには、単純承認といってすべて無条件に相続することになります。
次の場合には、単純承認になってしまいますので注意が必要です。
- 相続人が相続財産の全部または一部を処分したとき
- 相続人が相続開始を知った時から3か月以内に限定承認や相続放棄の手続きをしなかったとき
- 相続人が相続財産と知ったうえで財産目録に記載しなかったとき
- 相続人が限定承認や相続放棄をした後でも、相続財産の全部もしくは一部を隠匿したり、私的に消費したとき
つまり、相続開始を知ってから3か月以内に手続きしなかった場合のほかには、
相続放棄や限定承認をする前であれした後であれ、現預金や不動産など何らかの相続財産に手を付けてしまっていたり、後で手に入れようと隠したりするようなことがあれば、相続財産をすべて無条件に相続する単純承認をしたとみなされてしまうということです。
相続放棄と限定承認ではどちらがいい?
相続放棄も限定承認も、家族が借金を負わなくてよいという点では似たようなものと思われるかもしれません。
相続人が借金を負わなくてよいという同様の結果が得られるため、相続放棄と限定承認ではどちらの手続きをとるほうがよいのかわからないと思われるかもしれません。
そこで、相続放棄と限定承認のそれぞれのメリットについてまとめてみました。
相続放棄のメリット
事務処理面の負担が軽くて済むのが相続放棄のメリットです。
限定承認は相続人全員が共同で届け出る必要があるのに対して、相続放棄は各相続人単独でも届け出が可能です。
また、相続放棄では相続手続きを一切行わなくてよいのに対して、限定承認だと財産一つ処分するにも手続きが必要で事務処理も多く大変です。
このように、事務処理面での負担を考えると相続放棄をするほうがより簡単に債務を免れることができます。
相続財産のうち、現預金や不動産などプラスの財産とカードローンの負債などマイナスの財産を比べて、マイナスの財産が上回っていることが明らかな場合、相続放棄がおすすめです。
ただし、相続放棄をすると初めから相続権がなかったものとして扱われ、一切の相続財産を放棄することになりますので、すべての財産を手放しても後悔しないかどうかも考えておく必要があります。
限定承認のメリット
限定承認は、相続財産が債務超過になっている(プラスの財産よりも借金のなどマイナスの財産が多い)かどうか不明な場合におすすめです。
相続財産の範囲内のみで負債を負えば済むので、相続人は個人的な財産を持ち出して返済する必要はありませんし、あとになって実はプラスの財産のほうが上回っていたことが分かった場合には、プラスの財産も引き継ぐことができます。
相続放棄をすると、被相続人のすべての財産を手放さないといけなくなります。たとえば現在住んでいる自宅が故人名義だった場合、その家から出ていかないといけなくなってしまいます。
それに対して、限定承認の場合、不動産などの財産の買い取りが可能な資金力があるという条件付きですが、相続財産のうちどうしても必要で残したい財産(たとえば、自宅や事業に必要な財産など)を手放さなくて済みます。
限定承認をした場合、裁判所の手続きによってプラスの財産でマイナスの財産が清算されます。この場合、不動産などの財産は、負債の返済に充てるために、競売にかけられるなどの換価処分がされますが、その財産に相当する金銭を支出して買い取りができる場合には、不動産を手放さなくて済みます。
相続財産の中に、自宅や家業に使用する財産、家宝など手放したくない財産がある場合にも限定承認がおすすめです。
どうしても手放したくない財産がある場合、自己資金で買い取ることによって残すことができます。
詳しくは弁護士など専門家にご相談を
ただし、限定承認には以下のようなデメリットもあります。
- 事務手続きが複雑
- 相続人全員で行う必要がある
- 譲渡所得税が発生する
- 相続税の減税制度が受けられない
そのほか、ケースバイケースでどのような選択をするのがベストか異なってきますので、詳しくは弁護士など専門家に相談されることをお勧めします。
まとめ
- カードローンの契約者が死亡した場合、財産も債務(借金)もすべて相続するので、家族に返済義務が移ります。
- 遺族は、相続放棄や限定承認の手続きをすることによりカードローンの返済などの債務を免れることができます。
- 債務超過しているか不明な場合やどうしても手放したくない財産がある場合は、限定承認がおすすめですが手続きが複雑です。
カードローン契約者本人が死亡した場合、カードローンの返済義務はそのほかの相続財産とともに相続されますので、配偶者や子供など家族に返済義務が移ります。
自分が相続人になったことを知ってから3か月以内に家庭裁判所に対して、相続放棄や限定承認の手続きをすることにより、カードローンの返済義務など債務を免れることができます。